50男の働き方改革~なるか、自営の道~

平成最後の31年4月末、30年近く勤めた会社を希望退職。再就職せず、生きることを目指す50男の記録

【働き方改革11】50男は、いろんなお年頃。同窓会で「おまえもか」

 毎年お盆時期に開かれている高校の同窓会的な集まりに参加しました。当然、4月末でもって退職したことは話すつもりでしたが、ここに参加する男の決断も気になっていました。というのも、彼の会社が希望退職を募っていることがニュースになっていたからです。もしかしたら「お仲間になっているか?」と思っていたのですが、お仲間は別のところから現れました。

 

 「〇〇、最近どうしてるん?」

 

 当日昼間、向かいの席の男にこう問われ、「今年はいろいろあって」「いろいろありすぎて」と、言葉を濁しました。というのも、私の作戦ではまず、希望退職を募った会社に勤めてる、小学校からの昔馴染みに顛末を聞きたかったからです。

 とりあえず、適当にごまかしつつ過ごしているうち、私のいるテーブルとは別のテーブルにいた昔馴染みの男の口から「希望退職」という言葉が出たのを耳にしました。すぐさま、「どうしたん」と声を掛けました。

 残念ながら、答えはノー。彼は希望退職していませんでした。やむなく、「俺は辞めたよ」と言いました。「うそを~」みたいな反応があったように記憶しています。大きくいえば彼とは同じ業界。互いに業界の苦境はわかっているだけに、彼から返ってきた「残る方は残る方でつらいんやで」との声はよく理解できました。

 あとで、差し向かいで話したところ、希望退職を強く求められたのは、ネットの世界に完全にやられた別の部署とのこと。彼の部署はまだ収益を上げられるから、「会社として辞めてほしくなさそうだったので残った」とのことでした。

 

 彼がお仲間じゃなかったことには少なからずの落胆があったのですが、仲間は途中から現れました。

 

  「今月で退職して、別の会社に行くことになった」

 

 「おう、おった」と思いつつ、腹の中では「なんだ、もう決まってんのか」。「純粋なお仲間じゃないやん」とは思ったものの、なぜに決断し、どうやって決めて、どんなところに行くのかは気になります。そこで夕方からの飲み会の席でがっつり聞いてしまいました。

 大手メーカーの知財部門で長く働いた彼は、再婚して小学2年生の子供が1人。子供が成人する前に自分は60を過ぎるのに、大手メーカーでは定年後の給料がガクッと下がる。だから、再就職斡旋会社に登録していたところ、いい案件が来たとのことでした。次のところでは65歳まで働けるうえに、給料がそれほど下がらない。慣れない仕事も担当することになるとはいえ、ある程度の裁量をもって働けるし、「今ならまだチャレンジしようとの意気込みをもてる」。

 再就職先の会社の規模は小さくなるとはいえ、そこそこの規模はある。首都圏から地方に住まいを移すことになるが、「地方で暮らすのもいいかな」と思えている。大手メーカーは希望退職になるので上乗せ退職金もあるし、妻子もそれなりに納得してくれてるし、地方にも来てくれそう。

 そうなると、その決断は「正解」。そう思うと伝えると、嬉しそうでした。で、こちらはこちらで、いちおう、いまはパソコン教室通いながら、前の仕事のからみでバイト的な仕事をしていて、その仕事がもう少しちゃんとしたものになりそうなことだとか、別の仕事も依頼されていることだとかを話すと、「こいつも、まあ、まともにやっているのかな」と思ってくれたようで、「お互い助け合おう」となって、おっさん2人、LINE交換しました。

 もうひとつのお年頃話は定番、病気の話。彼は腎臓がそうとう悪かったらしく、2年前に移植を受けたとのこと。肝臓ではなく腎臓だから、酒も普通に飲んでいたのですが、腎移植手術の際にはけいれんを起こして死にかけたとか。私も右目が黄斑変性で、心臓は不整脈。良性ですが、大腸にポリープも見つかって摘出したばかりです。

 

 まあ、そんなこんなの後に席を移し、高校時代に「男は太く短くや」「俺は50で死ぬ」と話していた男の席へ。「 よう、辞めるなんて決断できたな」「俺には無理や」「息子が大学院に行く、言うからお金いるし」とかなんとか。「院代ぐらい自分で出せ、って言ったらいいんちゃうん」と言うと、「こっちが出すもんやと思うとるからな~」と。それはまあ、生き方やけど、趣味のダイビングも「2万円のお金が出せないからやってない」とのこと。ほんま、「何が、太く短くや」とまたしても心のなかで突っ込んだのでした。

 

 で、まあ、そんなこんなのやり取りの後お開きになったわけですが、最終盤には「〇〇みたいに気楽に辞めれるんやったら、俺も辞めれるような気がするな~」なんて声が、別の男から上がりました。まあ、確かに、次の仕事も決まってないのに、同窓会みたいなんに参加するのは、どうかと思わなくもないですが、まあ、近況報告ということもありますし。それに何より、気にしすぎるのはよくない。やっぱり、ケセラセラです。 いや、人事を尽くして天命を待つ、か。