【心構え3】妻の年金と健保への対応に、「昭和の女」という言葉が浮かんだ。
「そっちの会社の健保に入れてくれたら、保険料いらんし、厚生年金の第三号被保険者にしてくれたら、国民年金の保険料も払わなくていい。なんで、入れてくれんの?」
そんな妻に対する私の問いは、部屋の空気の中に溶けていくだけだった。
妻は私が会社を辞める2年ほど前から本格的に働き始めていた。3人の娘が大きくなり、ほとんど手がかからなくなったこともあるが、「私が何をしでかすかわからない」という不安も勤めに出る大きな理由だったと思う。最初に勤めた会社は肌に合わなかったようだが、事務員として働く今の会社はわりと気に入っているし、気に入ってもらえているようで、正社員にもなれた。
だから、勤め先の健康保険に入り、厚生年金にも加入している。正社員になるまでは私の健康保険証を利用し、私の厚生年金の第三号被保険者だったが、正社員になって以降は当たり前だが、私の扶養からも外れた。
そして、私は退社によって無職となり、健保と年金をどうするかが、大きな課題となり、上記の問いを発したのだ。
だが、案の定。そう、ある程度、妻の反応は予期できていた。
「旦那を扶養するなんて、考えられない」
「会社に夫の扶養を申請するなんて、そんなかっこ悪いことできない」
妻は何も口にしなかったが、そういうことなのだ。元同僚の妻も対応は同じ。結果、毎月何万円も無駄にお金を支払うことになっても、「そんなこと、知ったこっちゃない」という態度なのだ。
「男なら、自分でなんとかしろ」
ということでも、あるのだろう。
このことについては、役所で国保の加入手続きをする際にも何気なく確認した。「やっぱり、私みたいに妻が働いていても、その健保とかに入れてもらえない男って多いんですか」。そう聞いたら、「そういう方、何人かいますね」。そんな答えが返ってきた。
そんなこんなで、脳裏に浮かんだのが「昭和の女」という言葉だった。
若いころは、新人類なんて呼ばれた世代。ウイキペディアによると、1961年~1970年生まれが、「画一化社会に迎合し、無気力的傾向のある」世代ということなので、私はど真ん中。妻はぎり新人類の世代。この「新人類」というカテゴライズには違和感を覚えるが、やはり、昭和という時代の意識の中に生きてきたのだと思う。
専業主婦というのが、当たり前というか、理想的な夫婦のありようとして頭の根底にあったように思う。私の妻にも、元同僚の妻にも、そういう意識があったと思う。現実問題として、夫の給料の足らずの部分を稼ぐため、或いは息抜き、ヒマつぶし、社会との接点を求めて、パートなどで働くことはあっても、妻たるものの最大の役割は家を守り、子を育てること。そういう意識が私の世代の女性にはあったと思う。そして、ありがたいことに、きちんと子育てをしてくれた。
たぶん、このことについては感謝してもしきれないくらいのことだろうから、「昭和の女」が発する今の態度に腹を立ててもせん無い話。「いいとこどり」のそしりに対して、抗弁できないだろう。だから、まあ、いいのだ。
そう納得して、今に至る。その結果、国民保険料がどうなったか、 国民年金の保険料がどうなったかは、別稿に譲ります。少しだけ記すと、「えっ」ということでした。もし、私と同じような状況にある方が読まれているなら、別稿を読んで、「それでええやん」「これでいこっ」って思うかもしれません。