50男の働き方改革~なるか、自営の道~

平成最後の31年4月末、30年近く勤めた会社を希望退職。再就職せず、生きることを目指す50男の記録

【働き方改革8】ネット記事『「厚生年金に加入しよう!」という陰謀論』をどう読むか

 講談社のネットサイト「現代ビジネス」の記事を、ニュースサイトから誘導されてちょくちょく読んでいます。『「厚生年金に加入しよう!」という陰謀論』。そんなタイトルの記事もそう。参院選の最中にあって、年金への関心が高まっているという背景もあって配信されたのでしょう。タイトルのどぎつさもあって、就寝前につい、読んでしまいました。https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65830

 

 筆者は新潮新書の「言ってはいけない」が売れた橘玲氏。米国などの論文に依拠した筆致は説得力があり、この本には「なるほど」と思ったものですが、就寝前に読んだ際の印象は、「国民年金の税負担が考慮されていないのでは?」でした。

 

 しかし、改めて読んでみて、「そこに踏み込まずとも主張の筋は通っている」と思いました。

 

 「生涯賃金から概算すれば、平均的な(大卒・男性の)サラリーマンが納める厚生年金の保険料は(会社負担込みで)月額10万8000円で、国民年金の保険料(月額1万6410円)のおよそ6.6倍にもなる。それに対して受給額は国民年金が6万5000円、厚生年金が16万6000円で2.5倍にしかならない」

 

 厚生年金は会社が半分負担している代わりに、国民年金では国が半分負担しています。だから、昨夜は「厚生年金だけ会社負担込みで計算して、国民年金の税負担分を考えないのはフェアではないんじゃないか」と考えました。

 

 でも、改めて、保険料負担が国民年金の6.6倍に対し、受給額が2.5倍という数字を見て、考えが変わりました。そうです。国民年金の負担額の計算に税分を含めたとしても厚生年金は3.3倍の保険料を負担しているのです。それに対して、厚生年金の受給額は2.5倍にとどまる。やはり、おかしい。

 

 私は新卒で勤めた会社も入れると、サラリーマン生活はちょうど30年です。若いうちは気にならなかった厚生年金保険料の高さには、ほとほと嫌気がさしていましたが、どうしようもありませんでした。考えても仕方がないし、手取りの中で生活するのがサラリーマンですから、手取りのなかでなんとかやりくりしてきました。

 

 でも、この記事を読み、サラリーマンに戻ることは、「保険料の点からもできないのではないか」と思えてきました。

 

 サラリーマンの方がこの記事を読むと、「なんでだ」という怒りとか疑問とか、不条理さへの憤懣やるかたない気持ちがふつふつと湧き上がってくるのではないかと思います。

 

 私は今、川の向こう側にいます。

 

 失業者だから、国民年金の保険料は本来の4分の1、月4000円程度で済みます。むちゃくちゃ高くなるのでは、と恐れていた国民年金保険料も13000円程度で済むようです。

 

 正直に言って、今はもう、戻れない気分です。

 

 なぜ、サラリーマンは国民年金加入者の3.3倍も保険料を負担しながら、2.5倍の受給額しかないのか。

 

 もしかしたら、私のような減免対象者がいるからかもしれません。障害年金分を厚生年金の人が結果的に負担しているのかもしれません。私には今、そこらへんの仕組みはわかりません。おそらく簡単にはわからない仕組みになっているでしょう。

 

 記事の最後で「貧乏はお金持ち」という本を、橘氏講談社+α文庫から出していることを知りました。記事はその宣伝だったのです。

 

 でも、このストレートなタイトルを実感として持ち始めている私はたぶん、この本を買ってしまうでしょう。(1つだけ、考えないといけないことがあることに気づきました。厚生年金には第三号被保険者という立場の人がいます。今は少なくなった専業主婦のような方ですが、この方は自ら保険料を払っていません。大黒柱である夫もしくは妻の厚生年金保険料で賄われています。そして、第三号被保険者である配偶者を持とうが持つまいが、大黒柱が支払う厚生年金保険料は変わりません。橘氏国民年金との比較の論考にはこの部分が考慮されていなかったように思います。まあ、いずれにせよ、年金はいやになるほど複雑です)