【働き方改革2】【ハンガリー3】失業率の高い欧州の若者は幸せ?!
「なんで、そんなに早く再就職させようとするんですか」
再就職斡旋会社のコンサルタントが「3か月以内に再就職しないと、前職の賃金に比べた給料比率はがくとん下がり、正社員になる確率も同様にがくんと下がる」と言ったときのことだった。
あまりにも腹が立って、少し語気を強めた後に「私は自分が再就職するにあたって、自らのスキルが全然足りてないことを自覚しているから、ハローワークの斡旋でパソコンのスキルを上げたいと思っている。もし、今のスキルのままだと、書く能力があったとしてもろくなところに採用されないと思う」とまくしたてた。
そしたら、このコンサルタント、自分が欧州で人材系の仕事をしたことがあることを伝えてきたうえで「フランスの若者の失業率は高いというけど、彼らは一度就職すれば2年間にわたって職業訓練を受けられるんですよ。だから、若者の失業率の高さを日本の失業率と比べるのは間違っているんですよね」と話した。
なんのこっちゃ。
さっきまで、日本の統計データだけを示して、早期再就職を求めてきた男が、真逆に近い話をしてきたのだ。当然、早期就職を求めてくることはなくなった。そして、私はハローワークでwebの勉強をすべく訓練の申し込みを終えて、今ハンガリーにいる。
そして、この地で、フランス在住10年の男と知り合い、偶然にも同じことを聞いた。
別にこちらがこの話題をふったわけではない。日本のありように嫌気をさしているこの男性が、日本の欺瞞の1つの事例としてフランスの話をしただけだった。
彼によると、フランスの労働法は会社に対して非常に厳しく、日本でいうところの、パートなどの非正規社員は、小さな小売店が移民を雇うようなブラックなケースでしかなく、中小も含めたまっとうな企業ができるようなことではない。
ちゃんとした企業は従業員を雇う際、それがパートだろうと学生バイトだろうと、雇用保険などの社会保障をきちんとかける正社員として雇う。日本でも数年ほど前から、雇用保険の義務化対象となるパートの勤務時間が引き下げられたが、フランスではどうも雇う以上は社会保障をきちんとかける正社員が当たり前で、これに違反すると経営者は逮捕、しかも収監されるのだという。
これはハンガリーも同様のようで、たまたま同じホステルに泊まっている20代の女性は、ワーキングホリデーで週4日の勤務を行うだけなのに、社会保障の対象になっているという。
そして、フランスの場合、私が日本で再就職斡旋コンサルタントから聞いたように、失業してすぐに前職の8割の給料が失業保険として支給され、しかも2年間はパソコンなどの勉強をさせてもらえるのだ。もちろん、ただで。
だから、フランスで若者の失業率が高いといっても、失業している若者の多くは2年間のモラトリアム期間にいるだけだから、まったく問題ないというか、幸せな時間にいるということかもしれない。今の私のように。。
裏を返せば、日本でいうところの失業率の対象になるのは、本当に働けていないか、失業保険にも入れてもらえないブラックな小売店でのバイトを強いられている移民の人たちでしかない。
一方、雇用保険に入れない一部パートとかバイトとか請負契約だとかの日本の非正規社員は、日本では失業にはカウントされない。つまり、被雇用者の4割だかを占める日本の非正規社員が、フランス式に失業者にカウントされると、日本の失業率は30%とかのとんでもない数字になるというわけだ(このような指摘は日本でも読んだ記憶があるので、指摘している人はいるのでしょう)。
これが日本の欺瞞の1つ。この男性はこう指摘した。
ちなみに、今は6.3(月)の午後5時過ぎ。ブダペストの中心部にあるユダヤ教会・シナゴーグを見学した後、公園でこれを書いている。なのに、この公園にはお年寄りだけでなく、若者も歓談したり、くつろいだり、いろんな姿を見せている。
それでも、ハンガリーの経済は堅調なようなのです。なんでなんでしょう??